俳優トレーニングを目的としてスポーリンを捉えた場合、全体のコースは次の様な流れとなる。
まず重要な基礎が二点。
一つは場所(誰が・どこで・何を・の「どこで」)を使い、そこにある物を使って作業(何を)としっかり取り組むこと。キッチンで料理、楽屋でメイクなど、作業を続けながら会話も同時進行して関係を維持する練習をする。
二つ目がノーモーションを使って舞台で演じられない情報(直前に何をしたか、直後に何をするか等)を全身に込める練習。
この二つの基礎を学んだら、その後は「シーンの背景」をコースの中心に据えて、上の二点を合体させたシーンを練習していく。例えば「(同居している)2人の役者が・楽屋で・メイクをしている」という設定に「直前に大家から立ち退きを言い渡された」という舞台で演じられない情報を足す。そしてプレイヤーの二人は立ち退きを告げられたことを、(メイクをしながら)直接言葉にすることなく観客に伝えなければならない。
こうして「誰が・どこで・何を」に「舞台で演じられない情報」を足してシーンの練習をこなしていく。
空間物質やジブリッシュなどの基本的なゲームも、その他のシーンワークもすべて以上の目的に集約される。