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俳優トレーニングを目的としてスポーリンを捉えた場合、全体のコースは次の様な流れとなる。


まず重要な基礎が二点。

一つは場所(誰が・どこで・何を・の「どこで」)を使い、そこにある物を使って作業(何を)としっかり取り組むこと。キッチンで料理、楽屋でメイクなど、作業を続けながら会話も同時進行して関係を維持する練習をする。


二つ目がノーモーションを使って舞台で演じられない情報(直前に何をしたか、直後に何をするか等)を全身に込める練習。

この二つの基礎を学んだら、その後は「シーンの背景」をコースの中心に据えて、上の二点を合体させたシーンを練習していく。例えば「(同居している)2人の役者が・楽屋で・メイクをしている」という設定に「直前に大家から立ち退きを言い渡された」という舞台で演じられない情報を足す。そしてプレイヤーの二人は立ち退きを告げられたことを、(メイクをしながら)直接言葉にすることなく観客に伝えなければならない。


こうして「誰が・どこで・何を」に「舞台で演じられない情報」を足してシーンの練習をこなしていく。


空間物質やジブリッシュなどの基本的なゲームも、その他のシーンワークもすべて以上の目的に集約される。



# by spo-game | 2022-12-17 11:17 | ゲームに関する考察

「シーンの背景」の準備

「シーンの背景」シリーズは舞台で演じられない情報を伝えることを目的とした、スポーリンの核となるシーンワークである。スポーリンが「シアターゲームファイル」(ゲームがカード型式になっているもの)に書いた情報をまとめると、中上級の「シーンの背景」の準備オーダーは次の様になる:


①「会話の同時進行」(「即興術」p307 *複数フォーカスの  

    練習)

②「対位法による議論」(p186 *複数フォーカスの練習)

③「私は何歳:リピート」(p84 *ノーモーションの準備)

④「私の仕事」(p89 *ノーモーションの準備)

⑤「ノーモーションウォームアップ」 (p98)

⑥「ノックは誰A」(p120 *舞台外の情報を伝えるという点   

で「シーンの背景」と同種類のゲームとなる)

⑦「サイレントテンション」(p194 *「シーンの背景」の意図と

ーモーションの効果が最も体験しやすい。ただし経

者向けなので初心者には省略も可)

⑧「シーンの背景」(p136-138)


もちろん厳密にこの通りしなければならないというわけではないが、指導者にとってはゲームそのものの理解が深まるオーダーとなっている。




# by spo-game | 2022-12-17 07:19 | ゲームのやり方

(ノーモーションは舞台で演じられない情報[シーンの前に何をしたか、後に何をするのか]などを伝えるために使う、スポーリン独特のテクニック。以下はかんたんな注意点だが、過去の記事[ノーモーション:2019/05/29付け] でやり方を確認してから読むとわかりやすい)。


ノーモーションと各ゲームの「フォーカス」は別のものである。この点は注意がいる。アドバンスの例になるが、例えば「サイレントテンション」(「即興術」(p175)の場合、「フォーカス」はプレイヤー間の沈黙である。だが同時にプレイヤーは沈黙の原因となる出来事(事故、強盗など)を、ノーモーションを使って保ち続けなければならない。つまりフォーカスとノーモーションはそれぞれ別であり、つまりこれはダブルフォーカスのエクササイズなのである。これはノーモーションを使う時、常にあてはまる。


尚「フォーカス」はゲームの説明に常に記載されているが、ノーモーションを使うことは常に記述されているわけではない。ノーモーションは舞台で演じられない情報を伝えるゲームでは必須なので覚えておいてほしい。


# by spo-game | 2022-07-07 06:51 | ゲームのやり方

アクシデントへの対応

例えばシーンの途中で話の辻つまが合わなくなったとする。インプロの場合、こういったアクシデントも盛りこんで先を続ける。これがストーリーを飛躍させるチャンスともなるし、インプロのだいご味でもある。

スポーリンの対応はかなり異なる。こんな時スポーリンでは基本的にサイドコーチがシーンを止め、情報を訂正してそのまま先を進める。なぜならスポーリンは俳優のコミュニケーショントレーニングであり、この場合はコミュニケーションが成立しなかった(伝わらなかった)ということだからだ。そして必要ならシーンが終わった後の「評価」の時間に、どうすれば誤解を防げたかを話しあう(*話し合うかどうかは個々のサイドコーチの裁量による。またコーチが答えを教えることはしない)。

この時大事なのは、伝わらなかったことをプレイヤーが失敗と捉えない様に配慮することだ。伝わらなかったのならただそれだけのことで、悪いことでも失敗でもない。この点は非常に重要である。


# by spo-game | 2022-05-15 08:32 | ゲームのやり方

ゲイリー・シュワルツが数年前に東京で行ったワークの動画がyoutubeにアップされている。リンクの許可を得たいが連絡先が分からないので検索ワードだけにとどめておく。

1.

検索ワード:Spolin ImprovTheater Workshop Day 2 "Visual Scenery"

「取り組みながら会話する」(「即興術」p90

これは応用編。基本形は2人で話題を決めて、何かを食べながら会話を同時進行する。動画では4人で行っており、話題の他に4人の関係も決めて行っている。最初のグループは家のリフォーム、2番目は両親の離婚について話している。

ゲイリー「食事をしながらあらかじめ決めておいた食べ物以外で空間から現れてきたものはあったかい?」

プレイヤー「パンが出てきました」。

会話と食べることが相互に影響し合うこと、食べ物を扱うことでキッチン全体が現れる、つまり空間物質を扱うことでシーンのリアリティが増すことをゲイリーが強調している。

2.

検索ワード:Day 2 Spolin ImprovTheater Workshop

「『どこで』と『何を』を足した『誰が』のゲーム」(p121

Aが先に舞台に座っている。そこにBが「誰が・どこで・何を」を決めて登場し、Aと関わりながら「どこで」と「何を」を伝えながら、Aが誰かをA本人に伝える。場所を使おうとしないプレイヤーにゲイリーが「場所を使って、場所も「誰が」を伝えるヒントになる」とサイドコーチしている。

3.検索ワード:SpolinImprov Theater Workshop Day 2 "No Motion and Freeze"

「ノーモーション」(p195

「ノーモーション」はブログ(2019 05 29日)に別の動画と共に詳しく書いてあり、そちらの方がわかりやすい。


# by spo-game | 2022-04-26 10:37 | ゲームのやり方