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ヴァイオラ・スポーリンに関するブログ。2019年ワークショップ活動全面再開!


by spo-game

10月に下記の通りワークショップを行います。
豊平公園は久しぶり、緑いっぱいの空間の中でスポーリンを楽しみましょう!

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「共育フォーラムセミナー・スポーリン・シアターゲームへの招待」
(その場にいるみんなで、共にいる場を創る)

スポーリン・シアターゲームは「全身で表現する」、「空間を共有する」ことを重視しながら即興劇を作る、知的・身体的・直感的なワークショップです。演劇経験の有無を問わず楽しんでいただけますので、この機会にぜひご体験ください!

主催:共育フォーラム
日 時:平成24年10月21日(日)13:00-16:00
参加料:会員1,500円、一般2,000円、学生1,600円
会 場:豊平公園緑のセンター研修室別館(*豊平公園駅から徒歩5分)
    http://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/
定 員:16名
問い合わせ・申し込み:info.tomoni.f@gmail.com

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# by spo-game | 2012-09-28 08:54 | お知らせ

身体の創造力


 ワークショップの最後にはいつも簡単な即興をします。これは後からわかったことなのですが、自分が選んだ即興には共通点があって、どれも「身体」から触発されるものばかりなのです。つまり動作によって、次の展開が生み出されるのです。

 創造力というとどうも頭が生み出すもの、という先入観がないでしょうか。スポーリンが考えた身体を使った即興は、創造力には身体が頭を刺激して生まれるものもあるのだということを教えてくれます。これが自分で「子どものようなワクワク感」と呼ぶものでもあります(言葉偏重の即興になると、どうしても「頭で捻りだしているなぁ」と感じてしまってつまらなくなる)。

 スポーリンの応用分野は広いけど、自分はやっぱりこの辺りを続けていきたいなぁ。

 
# by spo-game | 2012-09-27 10:52 | ゲームに関する考察

名前をつける意味

 自分のワークをスポーリン・シアターゲームと呼んでいるのは、権威づけのためではありません。広く浸透しているシアターゲームとははっきりと違うからです。本物偽物、いい悪い、ではありません。目的にあっているかどうかということです。

 自分のワークの目的は「子ども時代のわくわく感をシアターゲームでもたらすこと」で、それにはスポーリンの一連のゲームが最適だと考えているのです。もしこれがインプロのトレーニングだったり、演技者トレーニングだったなら、使うゲームは大きく変わってくるでしょう。スポーリンのゲームは後者に対して効果があるとよく言われますが、直結しないものもあると自分では思っています(時系列でとらえると確かにインプロのルーツだしそういう敬意を払うことは大事ですが、インプロの「基礎」とはちょっと違うと思っています。少数のゲームを除けばスポーリンを体験していなくてもインプロはできるでしょうから)。

 目的にあわせて柔軟に取捨選択し、必要に応じてバリエーションを創っていくのが最も効果的です。
# by spo-game | 2012-09-26 14:21

ルーツ


◎ヴァイオラ・スポーリン(1906-1994):

 このブログでは「シアターゲームの祖」と呼ばれるヴァイオラ・スポーリンについて紹介しています。

 スポーリンのゲームは「手裏剣」や「ジップザップ」などのアイスブレーク的なシアターゲームとは一線を画すものです。スポーリンのゲームは「ゲーム的要素を持った演技エクササイズ」で、参加者が交代でプレイヤーと観客になり、「見る・見られる」という関係の中で進めていきます。また言葉よりも身体で伝えることを重視しており、かんたんな五感のゲームから複雑な演技テクニックまで、演技に必要なスキルを段階的に学んでいけるように工夫されたものです。

 スポーリンはもともとセツルメントワーカー(社会福祉士)を目指していた人で、1930年代にシカゴで移民の子供たちに演劇を教えていました。しかし子供たちの中には英語の読み書きができない子も多く、それぞれが抱える文化背景も異なるため、既存の指導法では限界があったのです。そこで「遊び=ゲーム」の要素を採り入れて試してみたところ、子供達はのびのびと表現し始めたのです。

 言葉よりも直感と身体表現を重視したこれらのゲームには身体表現を高める、集中力を養う、信頼関係を築くなど、多くの効果がありました。シアターゲームとして知られるようになったこれらのゲームはやがて教育演劇やプロの俳優トレーニングにも広がり、さらに自己啓発や非言語コミュニケーションなど幅広い分野に影響を与えることになりました。


◎ポール・シルズ(1927-2008):

 スポーリンの息子ポール・シルズはシアターゲームを使って学生劇団をトレーニングし、1955年友人のデヴィッド・シェパードとともにアメリカ初の即興劇団「コンパス」を作りました。もともとシルズはブレヒトに強い影響を受けており、劇団は当時の世相や社会風刺を盛り込んだ短いスケッチを発表しました。ただしコンパスで上演したのは完全な即興ではなく、メンバーが書いたシナリオに本番で即興を加えていました。

 コンパスの次にシルズが作ったのが、今やインプロ界の登竜門となっている「セカンドシティ」です。ただしここでも純粋な即興ではなく、リハーサルで即興をしながら台本を作り、そこに本番で即興を加えるというスタイルを踏襲していました。シルズにとって即興はそのまま舞台に乗せるものではなく、あくまで台本を書く手段だったのです。しかし当初は社会風刺を多く扱っていた劇団は徐々に商業化していき、シルズは5年後に劇団を去りました。

◎その後のスポーリンとシルズ

 その後も2人はシアターゲームと即興演劇に深く関わっていきますが、「インプロ」とは一線を画した活動を広げていきます。スポーリンは幅広い分野でシアターゲームのワークショップを展開し、本を出版していきます。またシルズはシアターゲームを使って「ストーリーシアター」という新たな上演スタイルを創り上げました。これは寓話を元にシアターゲームで台本を作り、演者がナレーターも兼ねて展開するもので、現在では教育演劇の一つとして非常にポピュラーなものとなっています。さらにシルズはコンパス時代の友人で映画監督のマイク・ニコルズと共に演劇学校を作るなど、晩年まで指導を続けました。

 2人の活動はインプロ、俳優教育、教育演劇ほか幅広い分野に影響を与えたのです。


◎その後のインプロ:
 
 「コンパス」と「セカンドシティ」の成功により、ここから枝分かれするようにインプロ劇団は全米へと広がっていきました。特に「セカンドシティ」3代目ディレクターのデル・クロースの元でトレーニングを受けた団員たち(ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイドなど)が、テレビ「サタデーナイトライブ」で人気を博し、インプロの知名度が一気に広がります。以降インプロはテレビや映画界への足掛かりの場ともなっていき、現在の興隆へとつなっがていくのです。

*インプロにはキース・ジョンストンの流れを汲むものもありますが、二つの流れがどのように影響しあったのか、詳しくはわかっていません。


◎スポーリン著作リスト(すべてamazon.comで入手可能です)

1.「Improvisation for the Theater」
(「即興術~シアターゲームによる俳優トレーニング」~未来社)
 スポーリンが1962年に出版し、現在もロングセラーを続けるシアターゲームのバイブルです。

2.「Theater Games for the Classroom」
 小学校の先生に活用してもらうために、わかりやすく書かれた本です。
 歌遊びや伝承ゲームも収録されています。

3.「Theater Game File」
  カード形式になっているので必要なゲームだけ現場に持っていけます。

4.「Theater Games for Directors」
 演出家を対象にセリフ劇のリハーサル段階でシアターゲームをどう使うかを書いた本です。

5.「Theater Games for the Lone Actor」
 スポーリン最後の著作でポール・シルズが完成させました。一人でできるエクササイズを集めた本です。
# by spo-game | 2012-09-24 14:52

継続中でした

 先日紹介した「The Spolin Players」 は現在も活動中でした!(ホームページがあります)

 さらにロサンゼルスタイムズに載った1987年のロス公演の評も見つけました。簡単にまとめると、他のインプログループに比べて、子供の遊び心とシンプルな笑いを大事にしているようだとあります。あえて時事的な話題を避けているようだとも書いてあり、テレビや映画のパロディなどがまったくなかったそうです。最後は一度やったゲームを観客を交えてやってみせ、これはうまくいかなかったらしく、ゲームは見た目ほどかんたんではないとも。激賞ではないけれど、おおむね好意的な記事です。


 彼らの公演を一度も見たことがないので憶測でしか言えませんが、四半世紀近くたった現在も「子供の遊び心とシンプルな笑いを大事にしている」点は変わらないのではないかと思います。そうでなければわざわざ「The Spolin Players」と名乗る意味がないし、そこがスポーリンの最大の魅力だからです。(見る立場になるとパロディなどの入った今のインプロも好きですが、自分のワークショップではやはりシンプルな笑いを大事にしています)

 ただメンバーの平均年齢がけっこう高いんですね、今。当時の「若手」がそのまま残ったのかどうかわかりませんが(ダン・カステラネタは今も名を連ねています)。当然一人一人のキャリアはすごいんだけど。いろいろな経験を経た人が、「いろいろ試したけど結局こういうシンプルなものがいいね」と慰労会的な集団だったら、それはまたどうかな(いや実際はわからないのですが)。

http://www.spolinplayers.com/
# by spo-game | 2012-09-22 09:15